アフガニスタンの手紡ぎ糸

アフガニスタンのある部族が手で紡いだ羊毛の糸が届いた。
キリムやギャッベなどの絨毯を織るのに使われる羊毛の糸。その糸の写真を見ただけで一目惚れしてしまい、知り合いの手織り作家さんから分けていただいた。
来月の展覧会が終了するまで荷解きを待とうと思っていたのだが、待てずに包みを開いた。
包みを開けた途端、野生的な匂いが広がった。羊の脂の匂い?牧草の匂い?夫は、すごい匂いだねと言うが、私はこの匂いに酔える。
匂いを嗅ぎながら糸を触る。
バリバリとした硬い毛質。インスタントラーメンみたいに縮むほどギリギリと撚りをかけて紡がれた糸。
その糸の束は、揺るぎない強さの束のようだ。
ざっくりと束ねられた糸の山から一本づつ糸を拾う。もつれた糸をほどきながら、アフガニスタンの大地のことを考える。そこで生きる羊のことを考える。この糸を紡いだ人たちのことを考える。

アフガニスタンはシルクロードの要衝で文明の十字路と呼ばれ、幾多の侵攻、あまたの人々の流入の結果、複雑な多民族国家となり文化的にも複雑に混ざり合っているそうだ。その地で作られる羊毛のアフガニスタンの絨毯は、アフガーン絨毯と呼ばれる。母から娘へと織り技術や文様が伝えられ、各民族・部族・氏族、各地域ごとにそれぞれ特徴を持った絨毯が作られているそうだ。

このアフガニスタンの手紡ぎ糸を使って、どのようなラグ(敷物)を織ろうかなあ。と思い始めたところで、糸ほどきの手を止めた。
いかん。いかん。先に片付けるべき仕事がたくさんある。ラグ織はそれが終わってからのお楽しみだ。
やりかけの作業に戻ろうと、糸の束をビニール袋に入れてしっかり封をした。

あれ?
日常の生活の中でうっすらと積もっていた恐怖心やストレスが、糸を触っているうちに消えてしまったみたいだ。
アフガニスタンの手紡ぎの糸から強さをもらったのだろうか?
心が萎えたらビニールの袋を開けてアフガニスタンの羊毛の匂いを嗅ごう。きっと私の気付け薬になる。(笑

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