メモした紙をあれこれ探していたら、ハラリと落ちた紙切れ。クシャクシャっと丸めて屑箱へ投げいれようとした瞬間。「待てよ」と思って紙を広げてみると、茨木のり子さんの詩の書き写しだった。
時折読んで、自分の姿勢を正そうと手帳に挟んでいたものだが、今日は、ちょいと涙がこぼれそうになった。
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
胸にグッとくるものをかかえて薄暗い庭に出てみた。蜘蛛の巣に覆われたレモンの木に実がしっかりとついている。
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」その実を見ながら繰り返し呟くと、闘志が湧いてきた。戦う相手は自分自身。再びレッツゴーだ。