柚木麻子の小説 BUTTER の本の表紙

BUTTER 美味しい小説

年明け早々に若い友人から頂いた本。柚木麻子の「BUTTER」。本にかかっている帯の文言は、通常割り引いてキャッチするのだが、「美味しいバターを食べると、落ちる感じがするの」という黄色い印字の一文に落ちてしまった。兎にも角にも、と、新春行事の隙間を繋いで読み進めた。

結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者を取材するうちに、獄中の容疑者の言動に翻弄されながらも、料理、食べることを通して、自分の歩み方を次第に変えていく30代の女性記者。獄中の容疑者の欲望に私までも絡め取られるようなバター料理の数々。

すでにバターの虜となっている私には、本に登場するバターに関する表現は生唾が湧きっぱなしだった。フランスの高級バター、佐渡のバター、味わったことのない銘柄のバター。物語は「これで終わりですか?」と、なんだか終わったような終わらないような、尻切れトンボ感が無きにしも非ずだったけれど、胃もたれすることなく読了できてよかったとも思う。

本の内容全般はさておき、女性記者が親友と交わした料理に関しての会話の中に、『料理』という分野を超えて、今年の私の『暮らし方』のキーワードにしようと思った文章を拾った。今まで頭の中だけに置いていた言葉が、ストーンと私の腑に落ちた。

『自分の適量を見つける。』
『料理はトライ&エラーの繰り返し』
『クラシカルなものも新しいものも、甘いものも辛いものも、高級素材も身近な旬のものも、柔らかさも硬さも、力強さも繊細さもー。正反対のものでも、自分がいいと思えば取り入れ、直感を信じてミックスする。それこそが、料理の醍醐味であり、ひょっとすると暮らしを豊かにする方法なのではないだろうか。それはいわゆるセンスとか、柔軟性とか、知性と呼べるものなのかもしれない。』

2019年の初めにこの本を贈ってくれたMちゃん、ありがとうございます。本の最初に登場する食べ方。バター醤油ごはんは、一人っきりの時に炊きたてのご飯でじっくりと楽しみたいと思っております。

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