2本の細い糸を縒りあわせる

糸撚り作業はテンポが大事

梅雨はまだ明けてないけれど、青空と涼しい風がさやわかな夏っぽい朝。

今日はヤクのショールを織るための糸づくりに精を出すぞ。と意気込んでみたものの、織り出すまでに必要な糸づくりの時間を概算してみて、道のりの長さに意気消沈。心にどんよりとした雲が広がってきた。

細い糸を撚り合わせて一本の糸をつくる『糸撚り』はシンプルな作業。糸に均一な撚りがかかればいいわけで、『腕に撚りをかけて・・』そんな意気込みなんて、全然いらない気楽な作業。だけれども、糸を揃えて手に持って『1・2・3・4』と数えたら、糸巻きのコマに糸を送る。この単純な繰り返しは、私にはあまり、いや、ちっとも楽しくない。そうは言っても、自分がつくりたい布の風合いの決定打となる糸づくりなので、眠たくても、飽きても、他のことをしたくても、まずは糸を撚らねば先には進めない。

と、気を取り直して撚りかけを始めたら、小野リサの曲「プリティーワールド」が流れてきた。なんとなく、曲のテンポに合わせて糸を送ってみると、これがなかなか気持ち良い。このボサノバの曲は、テンポも気持ちも、素晴らしく私の糸撚り作業にマッチしている。なんだかいいこと見つけちゃったなあ。イヤイヤ作業がイケイケ作業に一転しそうな気配だ。

今までの1分60程度のカウント方式をやめて、1130くらいのボサノバのテンポに合わせて糸を送る。このやり方は、作業の時短にはならないけれど、心地よ〜い気持ちも一緒に糸に撚り合わせていけそうだ。仕事のテンポ感やノリって重要だなあ。「プリティーワールド」曲の切れ目にしみじみと思う。
bossa nova(ボサノバ)とは 『新しい感覚』の意だそうで。ふむふむ、新しい感覚での糸撚りか。頑張れそう。

 

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